教育コラム

子ども時代の多くの経験が人生を豊かにする! 4つのメリット

子どもに色々な体験をしてほしい。その方が必ず子どもの人生が豊かになるとたくさんの保護者の方が思われていると思います。もちろん私も経験上賛成です。

その一方で、進学に向けて塾にも早くから通わせたい。でも、勉強に時間を割くと他のことができなくなってしまう。

このようなジレンマに悩まされることも多いのではないでしょうか?

少し、古いデータですが独立行政法人国立青少年教育振興機構が興味深い調査研究報告を発表していますので概要をご紹介します。このデーターを参考に子どもの体験活動の意義を確認し、勉強とのバランスを考えてはどうでしょうか?

「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」報告書 平成22年10月14日
国立青少年教育振興機構は、幼児期から義務教育修了までの各時期に多様な体験を通じて得られる資質・能力の関係を把握し、学校や、地域、家庭などにおいてどのような体験が重要になるのかを明らかにするために効果的な体験活動の推進に関する調査研究を実施しています。

この平成22年の調査研究からわかるメリットを簡単に4つあげたいと思います。

1.子どもの頃の体験が豊富な大人ほど、やる気や生きがいを満っていることが多い

子どもの頃の「自然体験」「友達との遊び」「地域活動」などの体験が豊富な人ほど「経験したことのないことにチャレンジしよう」という気持ちが強く、「意欲・関心」が高い傾向があるようです。また、席を譲るといった「規範意識が高い」「人間関係能力が高い」という傾向もあるようです。

さらに、統計の結果、最終学歴が大学・大学院の割合が多く、大人になってからの年収が高い、1ヶ月に読む本の冊数が多い、結婚して子どもの数も多い傾向があるようです。

2.子どもの頃の体験が豊富なほど大人になってからの礼儀作法がしっかりし、教養が高い

子どもの頃の「自然体験」「動物、植物とのかかわり」「友達との遊び」「地域活動」「家事手伝い」「家族行事」などの体験が豊富な人ほど、「丁寧な言葉を使うことができる」といった「文化的作法・教養」が高い傾向があるようです。

 

 

3.幼少期から中学生期までの体験が多い高校生ほど、思いやり、やる気、人間関係能力などの資質・能力が高い

幼少期から中学生期までに「動植物とのかかわり」「地域活動」「家事手伝い」などの体験が豊富な高校生ほど友達の幸せな出来事などを一緒に喜ぶことができる「共生感」が高く、「意欲・関心」「人間関係能力」が高い傾向があるようです。

 

4.体験が豊富な子どもほど、携帯電話を持っている・読む本の冊数が多く、コンピューターゲームやテレビゲームをしない割合が高い

幼少期から現在までの体験が豊富な子どもほど、携帯電話の所持する割合が高く、1ヶ月に読む本の冊数が高い傾向が見られるようです。また、コンピュータゲーム、テレビゲームのなどのゲームで遊ぶ頻度も少ない傾向が見られるようです。

 

この調査から個人的な見解ですが、

自然活動やスポーツ、地域活動など色々な体験をする中で子どもがさまざまなことに関心を持ち、実体験を通して学ぶことができます。その中で学校の勉強とは違う本質的な学びの楽しさや難しさを知ることができます。また難しいものでも工夫することで何とかクリアしようという意欲や関心が高くなります。

これは、ゲームなどあらかじめ決められたゴールがあるものとは違い、自然体験や地域活動、動植物のふれあいやスポーツは相手が生き物であったり、自然です。自分の思うようにならないものと向き合うことで、ゲームでは味わうことのできない達成感や面白さを感じるのです。

こうした経験をつんでいる子どもは、それを勉強に応用することも簡単なはずです。そのため、そもそもの学びを追求したいために大学や大学院に進学する割合も高くなり、結果的に収入の高い、仕事に就く可能性も高くなります。

収入が高ければ、私の周りの友達の様子からしても・・・結婚は早期化し、子どもも多い傾向になります。収入が高いため生活のゆとりはあるので、さらに自分の子どもに色々な体験を提供できるというプラスの循環が生まれます。

現在の収入や働き方は人ぞれぞれですし、型にはめる必要もないのですが、

例えば子どもに「ゲームをするな!」「本を読みなさい!」と強要するよりもまずは、一緒にキャンプに行く、地域活動に参加するなどできる限りの範囲から体験活動をやっていくのはどうでしょうか?

中には、子どもの興味を惹かないものもあると思います。一つでも興味のあるものに出会えれば、子どもたちは自分から学び、行動を始めていくのではないでしょうか。

それは、近い将来か時間がかかるものかはわかりません。でも、子ども自身が何か目標を見つけることができれば、自分からゲームを節制し、前向きな行動に変わるようになります。

子どもの人生を豊かにするために命令のスタイルから一緒に行動するスタイルにしてみましょう。子どもの頃は親がどのようにチャンスを与えるかという、与えるものよりも与え方のほうが重要なのかもしれません。

このレポートから、そんなことを感じました。ご参考になればと思います。